臼歯陽炎のブログ

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タグ:庵野秀明



シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』の製作が頓挫していた庵野秀明監督が、東宝と樋口真嗣監督に説得されて「一度きりの挑戦」で総監督を引き受けた作品です。

シン・ゴジラあらすじ
東京湾・羽田沖。
突如、東京湾アクアトンネルが巨大な轟音とともに大量の浸水に巻き込まれ、崩落する原因不明の事故が発生した。
首相官邸では総理大臣以下、閣僚が参集されて緊急会議が開かれ、「崩落の原因は地震や海底火山」という意見が大勢を占める中、内閣官房副長官・矢口蘭堂 (長谷川博己)だけが、海中に棲む巨大生物による可能性を指摘。内閣総理大臣補佐官の赤坂秀樹(竹野内豊)をはじめ、周囲は矢口の意見を一笑に付すもの の、直後、海上に巨大不明生物の姿が露わになった。
慌てふためく政府関係者が情報収集に追われる中、謎の巨大不明生物は鎌倉に上陸。普段と何も変わらない生活を送っていた人々の前に突然現れ、次々と街を破壊し、止まること無く進んでいく。
政府は緊急対策本部を設置し、自衛隊に防衛出動命令を発動。さらに米国国務省からは、女性エージェントのカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が派遣されるなど、未曽有の脅威に対し、日本のみならず世界もその行方を注視し始める。
そして、川崎市街にて、“ゴジラ”と名付けられたその巨大不明生物と、自衛隊との一大決戦の火蓋がついに切られた。
果たして、人智を遥かに凌駕する完全生物・ゴジラに対し、人間に為す術はあるのか?


ネタバレ注意。
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ネタバレ注意。引き返すならまだ間に合いますよ!
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ネタバレ注意。本当にいいんですね?


シン・ゴジラ』に登場するゴジラ使徒です。
ゴジラに歯が立たない自衛隊新世紀エヴァンゲリオンTV版第1話に登場する軍隊と同じです。
シン・ゴジラ』に登場する作戦司令室はネルフ(NERV)と同じです。
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エイプリルフールネタでゴジラ対エヴァンゲリオンという前田真宏のコンセプトアートがありましたが、

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』とのタイトルの被り方といい、劇中にエヴァのBGMが流れるところといい、エヴァンゲリオンそのまんまです。石原さとみは帰国子女的な設定で、惣流・アスカ・ラングレー的な位置づけでしょうか?
後述するヤシオリ作戦も、ヤシマ作戦そのまんま!

良かった点としてはヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のようにストーリーが破綻しなかったところですね。

最初に登場する地面を這いずるエラつきのゴジラ第一形態吾妻ひでおの漫画に出てきそうなキャラクターです。大きな目玉と間抜け面がそんな感じです。

完全生物
となったゴジラ第四形態相手には、自衛隊のヘリの機関砲やミサイルも効きません。もちろん一〇式戦車の一斉射撃や、F-2支援戦闘機が投下する爆弾も効果ありません。

ATフィールドかよ?

おもわず劇場で叫んで突っ込みたくなりましたが、理性で抑えました。

シン・ゴジラ』が映画として新しいのはドキュメンタリー・タッチを怪獣映画に取り入れてる所です。
もしも実際に自衛隊がゴジラと戦うことになったらどうなるか、自衛隊に取材したそうです。
なので、自衛隊や官僚や政治家などリアリティーがあってセミ・ドキュメンタリーを見ているようです。
巨大不明生物という呼称は官僚がゴジラをそう呼んだことが原典だそうです。

そういえば、4DX2Dでも『シン・ゴジラ』を上映していますが、アクション・シーンは少ないので通常の2D上映で十分だと思います。

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2Dで十分ですよ!

4DX2Dのほうが入場料が高いので劇場側としては旨みがあるのでしょうけど……

福島原発事故放射能漏れや、津波で破壊された町並みを連想させるシーンも有り、2016年に日本で作られた正しい映画だなと思います。
自衛隊とアメリカ軍の総攻撃で力を使い果たしたゴジラ(この前の米軍のB-2戦略爆撃機をレーザーのような怪光線で撃墜するシーンがゴジラの数少ない見せ場)が停止して休眠状態となり、再度エネルギーを蓄えるまでの間に世界中のスパコンを並列で繋いで計算して、日本全国のプラントで対ゴジラ用の冷却液?を作るヤシオリ作戦の様子はヤシマ作戦そのまんま!
この冷却液は1954年版の『ゴジラ』に登場した芹沢大助博士オキシジェン・デストロイヤーによく似てます。

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一応、主役は
矢口蘭堂 (長谷川博己)赤坂秀樹(竹野内豊)カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)の三人ということになってますが、実際にはこの三人が中心になって物語が展開していくというよりもグランドホテル方式の群集劇に近く、特に目立った主役は居ないというか、或いは皆が主役というか。
前田敦子なんて、どこに出演していたかさえ判らなかったし(笑)←たぶん冒頭の
東京湾アクアラインの避難民。
キューティーハニーでも
東京湾アクアラインを出してたし、庵野秀明監督は電柱並みに東京湾アクアラインが好きですね。
小池百合子を意識したであろう花森麗子防衛大臣(余貴美子)はそれらしかったです。
文科省の官僚を演じた高橋一生さんの飄々とした演技も良かったです。
個人的には尾頭ヒロミ(環境省自然環境局野生生物課課長補佐)役の市川実日子さんがスッピンで役を演じていて、スッピンでありながらも凛とした美しさがあり、リアリティーもあって一番のお気に入りです。

全体に大人が観ても楽しめるというか、逆に幼児は退屈すると思います。
自衛隊や官僚の取材とか大変だったと思います。凄いエネルギーです。
続きは劇場で御覧ください。




『シン・エヴァンゲリオン劇場版』及びゴジラ新作映画に関する庵野秀明のコメント
『2012年12月。エヴァ:Qの公開後、僕は壊れました。
所謂、鬱状態となりました。
6年間、自分の魂を削って再びエヴァを作っていた事への、当然の報いでした。

明けた2013年。その一年間は精神的な負の波が何度も揺れ戻してくる年でした。自分が代表を務め、自分が作品を背負っているスタジオにただの1度も近づく事が出来ませんでした。
他者や世間との関係性がおかしくなり、まるで回復しない疲労困憊も手伝って、ズブズブと精神的な不安定感に取り込まれていきました。』

庵野秀明監督
が、なぜ壊れてしまうかというと、ヱヴァンゲリヲン新劇場版はSFとしての縛り、制限が何もなかったからではないでしょうか?
エヴァンゲリオンは旧劇場版で終わっていたと思います。
新劇場版はエンターテインメントに徹するというコンセプトで始められましたが、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qで完全に壊れたのは周知の通りです。

例えて言えば、リミッター解除してエンジン全開で突っ走ってるようなもので、壊れない方が不思議です。

設定で言うとまず、エヴァンゲリオンの動力が何なのかわからない。汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオンとなっていて、完全なロボットではなく、装甲板の下には得体の知れない生き物が隠されている。
電力が切れても、勝手に再起動して暴走したりする。
ATフィールドというバリアーの原理もよく判らない。あまつさえ、神がつかわした使徒が人類を襲ってくる。
もう何でも有りだ。エヴァQでは、
反ネルフ組織「ヴィレ」の巨大戦艦「AAAヴンダー」が空を飛んでたりする。そもそも、空を飛ぶメリットが判らない。

つまり、庵野秀明監督の想像力を限界まで引き出したのが
ヱヴァンゲリヲン新劇場版で、想像力に果てはないから、向かう方向によってストーリーが様々に分岐して収拾が付かなくなってしまう。
それが新劇場版:Qで使われなかった予告編の数々であり、纏まりのないストーリーの本編を生み出した、と考えるのが妥当ではないだろうか?

ヱヴァンゲリヲン新劇場版から学べることは、ストーリーを作るときは内向きの想像力ではダメということ。
やってもいいけど、庵野秀明監督のように精神が破綻するということ。
外側に開かれた視点を持ってストーリーを組み立てる必要があるということ。具体的には、現実社会とのリンクが必要だと思う。

庵野秀明監督は、シン・ゴジラで現実との接点を見いだしたのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。

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