映画の成功作(黒字作)から学ぶことは多いですが、失敗作(赤字作)から学べることも多いです。

原作ファンから大不評を買った実写映画版『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の樋口真嗣監督作品は当たり外れが激しいです。
劇場公開時には集客できなくても、海外で評価の高かった北野武監督の映画や、ウディ・アレン監督の映画など、映画通を唸らせる作品もあります。
リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』も劇場公開時には余り話題にならなかったのですが、ビデオ発売されてから人気に火がつきました。ビデオで何度も繰り返し見て、新たに気づくシーンが沢山あったからです。
TVCMの演出出身のリドリー・スコット監督は絵が達者で自分の頭の中のイメージをスタッフに伝える術に長けてますが、脚本を自分で書くことが出来ません。近年では『プロメテウス』、『悪の法則』は評判が悪く、『オデッセイ』は評判が良かったです。『ブレードランナー』にはデイヴィッド・ピープルズという優秀な脚本家が参加していました。リドリー・スコット監督の映画に当たり外れが多いのは脚本を自分で書けないことが大きく影響してると思います。

映画「進撃の巨人」酷評に監督やスタッフがブチ切れ 大人の対応した石原さとみだけ「株急上昇」

話は戻りまして、樋口真嗣監督は平成ガメラの特技監督を務めたり、アニメの絵コンテを書くことも多く、映像派と言えるのではないでしょうか?

 

スバル:進撃の巨人CMはカッコ良くて期待できそうだったのですが、劇場版『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』はまるでダメダメでした。

Wikipediaより
『原作では重要人物の1人であるリヴァイは、実写映画版では作中世界が原作と違って日本を下敷きにしていることや、彼の名前にそれとそぐわない「ヴ」の発音がある関係上、登場させることを断念せざるを得なかった。その代わりとして、シキシマが登場する』
(゚Д゚)ハァ? 意味わかんないし!

原作で大人気のリヴァイを登場させずに、長身でまるでイメージの違う長谷川博己シキシマを演じて、しかもミカサと恋愛関係?
こんなの『進撃の巨人』じゃない!
原作に登場しないヒアナ(水崎綾女)も、全面カットしても差し支えないし。

黒澤明監督の傑作をリメイクした『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』も、コレジャナイ感がハンパなかった。本当に駄作。黒澤明監督が草葉の陰で泣いてると思う。

その一方で、『ローレライ』や『のぼうの城』は良かった。

樋口真嗣監督は、物語の中心核を見極める目が無いと思う。『進撃の巨人』も『隠し砦の三悪人』も、決して外してはいけないコアの部分を外してる。
どうしてこの物語は面白いのか?」その骨の部分を理解していない。骨がグチャグチャに折れていて、そこに幾ら肉付けしても面白い映画にはならない。
樋口真嗣監督は観客が映画に何を期待しているのか理解してないし、そこから更に斜め上をいって良い意味で観客の期待を裏切るのがプロの映画監督だと思う。

スタンリー・キューブリック監督は常に映画の核となるインスピレーションがあって、そこから決してブレることなく映画を撮っていたと言う。

映画でも漫画でも、最初に核となるアイデアがあります。この核は発明王エジソンが「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」という言葉を遺したように、そのひらめきの部分です。
映画でも漫画でも制作中は作業が大変で、核となるアイデアを忘れてますが、観客や読者が作品を見終えた後に残る印象は核となるアイデアの部分です。これをどうにかして見つけないといけない。
一番最初のひらめき核となるアイデアが作品の評価を左右します。
ひとを惹きつける何か、これを見つけないといけません。ここをおろそかにすると作品の発表後にしっぺ返しを食らいます。
作品の核となるアイデアを見つけることが出来れば、作品は90%完成したも同然です。